宝塚記念2017回顧!キタサンブラックの敗因は?

【宝塚記念2017レース回顧】稍重の阪神芝2200で行われたGⅠ宝塚記念を制したのはミルコ・デムーロ騎乗のサトノクラウン!単勝1.4倍の圧倒的な人気を集めたキタサンブラックは9着に敗れる大波乱。さて、キタサンブラックの敗因はなんだったのか?馬場?ペース?それとも精神面?凱旋門賞には行かないのか?今後のローテは?

 

サトノクラウン、宝塚記念制覇!

 

 

いやーサトノクラウン強かったねー。

 

そもそもこの馬、走り時が分かり辛いだけで、

実力は相当高いんだよね。

 

勝因として「ちょっと重い馬場」が上げられているが、

パンパンの軽い馬場でも強いから、

秋の「天皇賞秋」「ジャパンカップ」でも相当有力。

凱旋門賞に行ってくれると嬉しいけど、

サトノダイヤモンドが行くからなぁ・・・やっぱ国内?

 

しかしキタサンブラックの失速振りに驚いた諸兄も多かったと思う。

敗因は何だったんだろうね?

 

簡単に回顧する。

 

■宝塚記念2017結果、着順

 

■宝塚記念2017映像

 

■宝塚記念2017回顧

大きく出遅れる馬なく、揃ったスタート。

 

 

どの馬が行くのか注目して見てたが・・・

 

 

200m地点まで大きな動きなし。

 

キタサンブラックは好スタート。

逃げの手に出るかと思われたが・・・

 

イカず!

 

いや、

 

行けなかったのか?

 

気のせいかもしれんが、

外へ外へ行こうとしているように見える。

 

今回のキタサンブラックの敗因は、

武豊自身が「正直よく分からない」と言っており・・・

【宝塚記念】キタサンブラック9着惨敗 武豊「正直よく分からない」

なんか「敗因不明」「謎」って感じになっているが、

 

私に言わせれば、

「逃げなかったのが、第一の敗因」

である(個人的意見である)。

 

キタサンブラックは「番手での競馬も出来る」逃げ・先行馬であるが、2~3番手に控える場合は「大逃げ馬」を行かせた上での「離れた単騎の2~3番手」なのである。つまり、2~3番手に控えたとしてもペースの鍵を握るのはいつもこの馬だったのだ。

 

しかし今回はシュヴァルグランのペースに巻き込まれることになり、

だから道中ペースを落とすことが出来なかったのであり、

延々と併せる形で消耗させられたのだ。

 

外枠で無理をしたくなかったのは分かる。

しかし最初の直線で先頭に立っておけば・・・

いつも通りペースを握ることが出来たと思うのだ。

 

今回のレース、見ての通り前に行った馬は総崩れで、

かなり厳しいレースを強いられたのである。

 

 

まあ、続きを見てみよう。

 

 

先頭に立ったのはなんとシュヴァルグラン。

 

しかし、無理して先頭に立った感じではなく、

馬なりのまま・・・余力を持ってのハナ。

 

私は、この馬から単勝含め勝負馬券を買っていたのだが、この時、

「よしよし!キタサンの前なら可能性十分や!」

と密かにほくそ笑んでいたのである!

 

そのほくそ笑みは直線入り口までしか続かなかったけど(笑)。

 

2コーナー。先頭はシュヴァルグラン、2番手にシャケトラ。3番手集団にキタサンブラック、クラリティシチー、ミッキーロケット。

 

そしてこれが問題のシーン。2コーナー過ぎの700m~1000mの地点でミルコ騎乗のサトノクラウンが外からぐんぐんと上がって行くのである!

 

「すわ、掛かったんじゃね?」

「ミルコやってもーた?」

 

と思った毒者も多かったと思うが、そうではない。

 

ラップタイムはこうだ!

 

 

600~800mのラップを見ると13.1。つまり、1~2コーナーでガクンとペースが落ちているのであり、ミルコは「あれ?ペース遅くなったげな!」と感じ取ったのである。そして、絶好調だったサトノクラウンにとってもこのペースは遅かったのであろう。スルスルと外を上がって行って・・・

 

キタサンブラックの尻に・・・

 

カンチョーいっぱつ!

 

 

これで火がついたキタサンブラックは、前のシャケトラとシュヴァルグランにプレッシャーを掛けることになってしまい(想像込み)・・・全体ラップが上がってしまうのだ。

 

 

もう一度ラップタイムをご覧頂きたい。

1000m過ぎから延々と11秒台の鬼ラップである。

こういうのはちょっと珍しい・・・

つかパンパンの良馬場でも見たこと無いかも。

 

おそらく、

シュヴァルグラン福永も向こう正面で息を入れたかったに違いない。

しかし、真後ろにシャケトラとキタサンブラックが居て、

終始ケツを突つかれている状態。

 

 

この状況じゃペース落とせないわな(笑)。

 

・・・引いてしまえば楽だったかもしれない。

 

しかし、福永の頭の中には、

 

「キタサンを負かすにはキタサンの前で!」

 

というのが多少なりともあったと思う。

(レース後のコメントで「逃げるのもありかと思っていた」と言っている)

 

直後に居たのがルメールってのがまた愛しさと切なさと心強さとで、

 

「このペースでいいんだな!」

 

と思ってしまったのかもしれん。

シュヴァルグランが逃げ馬であったなら、

ここまでペース配分が狂うこともなかったろうが・・・

 

中団にゴールドアクター、スピリッツミノル、ミッキークイーン。後方にレインボーラインとヒットザターゲット。

 

3コーナーでの隊列がこう。キタサンブラックにカンチョー注射したサトノクラウンはいつの間にかポジションを下げて息を入れている。その差は多分3馬身くらいだと思うが、その差が大きいのだ。全速力で走るのと、ちょっとスピードを緩めて走るのは大違いだからだ。

 

 

1000~1400m地点、前の馬が11.7-11.6で行ったところを・・・

サトノクラウンは12.0-11.9くらいで行ったんじゃないかな。

 

 

4コーナーですでにシュヴァルグランの手応えが怪しい(笑)。

逃げるのは初めての上、ずっとカンチョーされてたけんな。

 

私の「ほくそ笑み」もココで終わり(笑)。

 

シャケトラが先頭に立ち、キタサンブラックがその後を追う!

 

 

ここでキタサンブラックが突き抜けるのを確信した諸兄も多かったと思うが、

 

ここから全く伸びない!

 

代わりにぶっ飛んできたのが、ミルコのサトノクラウン!

 

 

そして、4コーナーで馬場の良い外に馬群が向かう中、

内を突いたゴールドアクターが一気にワープ!

グイグイと伸びて来る!

 

 

しかし、サトノクラウンの勢いは衰えず豪快に突き抜けて1着!

ゴールドアクターは最後に力尽きて2着。

後方で脚を溜めていたミッキークインが離れた3着。

 

サトノクラウンの完勝劇!

 

稍重のタイムは2:11.4。

勝ち馬の上がり3Fは35.4。

宝塚記念らしいハイレベルな持久力戦であった。

 

 

 

 

宝塚記念2017各陣営レース後のコメント

 

サトノクラウンのオーナー里見氏は・・・呪いが解けてからこれでGⅠ5勝目か。まだ確変続行中であったな(笑)。秋の予定は未定だということだが、出来ることならサトノダイヤモンドと一緒に凱旋門賞にチャレンジしてもらいたい。馬場適性を考えると・・・もしかしたら凱旋門賞に適しているのはクラウンの方かもしれない。

さっきも書いたが、今回のサトノクラウンの勝因は「馬場」ではない。多分パンパンの良馬場でもこの馬が勝ったと思う(タイムを見れば分かる通り、そこまで重い馬場ではなかった)。それくらいデキが良かったし、馬も走る気満々だったな。パドックで入れ込んでいるように見えた人も多いと思うが、この馬はチャカついてるくらいの方がいいんだろうな。しかしこの馬は走るタイミングを見極めるのが難しいわ。パドックを見てから・・・の方がいいタイプ。

しかしこれでこの馬の前途は洋々だな。非サンデーどころかヘイルトゥリーズン系の血を持っておらず母方も良血。種牡馬としてかなり期待出来ると思う。

 

2着のゴールドアクターに驚いた方も多いと思う。私は◯がゴールドアクターだったため、「横典ゴラァ!控えてんじゃねー!行かんかー!」とスタート直後に叫んだものが、結果を見ればこれが幸い。前に行ってたら潰れていたと思う。今回100点満点の騎乗であったが、ちょっと勝ち馬が強すぎたな。しかし、この馬はやっぱグランプリで走るタイプ。次の狙い目は有馬記念?

 

3着ミッキークイーンは勝負とは関係ない離れた3着。外差し決め打ちが功を奏した形だが、やっぱりこの馬も能力高いね。秋はどうすんだろ?出来れば秋天→ジャパンカップのローテでお願いミッキー。

 

差し馬勢が上位を占める中、4着に粘ったのがシャケトラ。この馬・・・シュヴァルグランとキタサンブラックに挟まれる形で、終始リラックス出来る場面はなかったにも関わらず、直線入り口では突き抜けるかのような手応え。最後までバテずに走っており、秋が楽しみな一頭であるな。

 

レインボーラインはマクってどこまで行けるか?という競馬に徹して5着。もうちょっと馬場が悪ければ・・・と思わんでもないが、現状これが精一杯だろうね。秋にまた買いたいな。

 

さて、

 

改めて、

 

キタサンブラックの敗因であるが、文中でも述べた通り、

「逃げられなかった」のが第一。だから、

「自分のペースで行けなかった」のであり、

「11秒台の息が入らないラップに巻き込まれた」のである。

 

いかにキタサンブラックと言えど、11秒台のラップで延々走ることは出来ない。過去のレースを見ても「必ずどこかで息を入れている」のであり、息が入らなければバテる。これはどんな馬でも一緒。これが今回の最大の敗因であり、馬場のせいではない。

 

とは言え・・・である。

 

同じようなポジションにいたシャケトラが4着に粘っているのであるからして、もう少し格好を付けて貰っても良さそうなもの。バテたにせよ、

 

3着くらいはあって良かったんじゃないの?

いくらなんでも負け過ぎじゃないの?

 

とも思うわけ。しかし結果はズブズブの9着・・・。

 

その原因は・・・

 

分からん。

 

と武豊が言ってるのだから、私にも分からん。

 

一言で言えば「馬は生き物」だということか。調子なんてのはその日によっても変わるし、精神的な何かがあってレースをヤメちゃったのかもしれん。

 

ただ、私が推測するに・・・

今回「ゴチャついた」競馬になってしまったことがキタサンブラックの精神面に影響しちゃったのではないかと思う。いつも横に馬を置いて競馬をしている馬なら影響なかったかもしれない。いつも馬群の外目で競馬をしている馬なら影響なかったかもしれない。しかしキタサンブラックはココ最近ずっと「単騎」「内目」のスムーズな競馬をしていたのだ。

ハナを切る時はもちろん、2~3番手の競馬をする時も、キタサンブラックは大概「単騎」である。横に馬を置くケースは滅多になく、前後もある程度距離を取る場合がほとんど。しかし、今回はずっとシャケトラと併せる形の外。さらに後ろからカンチョーまで食らってしまった。

 

「横に馬がいると走りにくいなあ」

「前に行きたいなあ・・・」

「うへえ!後ろからカンチョーされちゃったよ!前に行かなきゃ!」

 

とキタサンブラックが思ったとしても不思議なく、知らず知らずの内に力んでいたのかもしれない。運動会などで真横に並走してるヤツがいると走りにくいのと同じ理屈である(違うか。笑)。元々キタサンブラックは勝負根性が半端ない馬である。横に馬がいることでその根性も消耗してしまったのかもしれんじゃないか。

 

ま、

 

キタサンブラックの本当の敗因なんて分からんが、

 

これだけは言えますな。

 

競馬に絶対はない。

 

今回のキタサンブラックは明らかに過剰人気、

典型的なハイリスク・ローリターン馬であった。

 

頭にして馬券を買った方や、

大金をぶっこんで目がカイジになった方もいると思うが、

 

 

もしまた同じように、

グリグリの1番人気から馬券を買おうとした時には、

是非この言葉を思い出して欲しい。

 

競馬に、絶対はない。

 

のである。馬は生き物だけんな。

 

武豊が言ってたように「全部勝つのは難しい」のである・・・

 

 

あ、そうそう。この記事を書いた後、

netkeibaの福永のコラムで「宝塚記念回顧」が掲載されたんだが、

【ユーイチの眼】宝塚記念回顧&帝王賞展望『レースのポイントは向正面でのミルコの動き』

ほぼ、私が書いた内容と合致するな。

やはり、ポイントはミルコの動きだったのだ。

 

さて。

 

これで春のGⅠシリーズもおしり。

じゃなかったおわり。

 

でも、これから夏競馬。

 

競馬は巡る。

 

夏競馬も楽しんで逝くぜ!

 

 

【浅次郎のひとりごと】

キタサンブラック9着…海外遠征を断念/宝塚記念

なんだよー!一回負けたくらいで断念かよー!なんか判断早くね?深読みしたくはないが、この感じだと勝っても負けても・・・ってことだったんじゃなかろうか?本気で行くつもりなら宝塚記念は回避って選択もあっただろし・・・。まあ、チャレンジして欲しいファン目線と、お金と馬の無事を考えるオーナー目線は違うからなんとも言えんが(種牡馬入りした後のことも考えないといけない)、是非とも行って欲しかったなあ。残念。